翻訳指南書が最後の参考書

翻訳家というのは洋書読みであれば、一度はあこがれる職業です。

わたしも彼らに、あこがれのまなざしを熱く注ぎ込んでいます。たまに家の本を自分でも訳してみることもありますが、翻訳のプロの本と比較すると差が歴然です。1冊訳してみたい本がいくつかありますが、そこまでいくのに何年かかるのか?という世界になっています。

もちろん、そこまで思わなくても翻訳者の名前で本を買う人もいるでしょう。
わたしが翻訳物を読み始めた時のスター翻訳家は柴田元幸さんでした。まだ柴田さんもそんなに作品も出ていなかったですが、飛び切り面白かった「宮殿泥棒」と「幽霊たち」が同じ訳者なのを見て、あれ?と思い、そのまま絶大な信頼を置いています。本屋にいれば知らない作家名よりも、訳者のほうを先に見る癖がつきました。そういうわけで読む本のガイドとしていました。他にも作家兼業の村上春樹さんや岸本佐知子さんとか、他にも優れた訳者がいて、訳者で本を選ぶことのできる時代になっています。

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勉強中の人にとっては、彼らの話す翻訳の話は、レベルが高すぎて難しいです。翻訳教室なんかは、訳者を目指す人もいる東大の授業のままということもあり、面白く読めますが勉強に活かすには難しすぎます。わたしも無理でした。

そこで現代の翻訳家が、軒並み読んで参考にしたであろう、初心者や中級者の英語学習者が読める翻訳指南書があります。これが、見事に洋書をよむための勉強になりました。

だいたい洋書好きは英語ばっかり読んでる人じゃなく、もともと翻訳本も読んでいることでしょうから。裏話的にも読むことができで面白いです。

多読中であれば、英語は英語で辞書禁止ということで、ご法度の本ですが、多読だけでは、どうしても意味がとれない箇所がでてきます。わかんねー!!っと飛ばしていましたが。その後、翻訳指南書を読んだせいで読めなかった箇所がけっこうすいすい読めてきました。がちがちになった頭が優しくほぐれていきます。レベルの高い一般的な文学と呼べる作品を読む頃に、つまり「勉強」の「最後」に読むといいです。

例えばこの2冊

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どちらも少し古いですがかなりの名著です。英文への姿勢・気持ちの持ち方なども背筋をくっっと正してくれます。

翻訳指南書は、特に日本人が読みづらく感じている部分を、文法でもなく精読の観点でもなく、訳すという別の視点から解き明かしてくれます。品詞を転換させて読むことや、関係代名詞の前でいったん切ってしまうなどの技は洋書を読む時に、とても参考になるでしょう。

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