英語が速く読めない原因
原書はライブ、翻訳ものは録音
かつて、英語の本を購入するとき、いつもレジでお金を払う段に思うのが、これいつ読むんだろうなということでした。とくに洋書バーゲンセールなんかで、何冊もまとめて買ったときには、興奮しつつも、家の帰りの電車でこれどうするんだ?と考えていました。
自分のレベルを考えず、オモシロそうだからという理由で買って棚に延々ならべたままで、もはや本というよりも飾り、雑貨といえる代物になってしまっていう洋書が多数ありました。装丁はまぁ確かにオシャレではありますが・。
正直に言うと、今でも日本語で書かれた本(翻訳本)を読んだ方が、英語の本を読むよりも当然深く、格段に速く読めます。でも、そうではなくて英語で読みたいのは、複製ではなくほんとうの本物で、作者が選んだ言葉で本を読みたいという欲求が全てです。
原書はライブ、翻訳ものは録音なんてことをよく聞きますが、その通りだと思います。二つは似て非なる別のものです。例えば翻訳と原書の一人称に不満を覚えることも多々あります。Iの訳し方ですねこれは。私と俺と僕の違いなど無数にバリエーションがあります。そういうのです。
もちろん、翻訳を非難しているわけではなく、両方ともそれぞれに味や価値があり、どちらも個人的には面白いという点で評価していますが、英語のライブ感はやみつきになります。それに、翻訳は出た時に買わないと、すぐに廃盤になって手に入れられなくなってしまったり、読みたくても翻訳されていないものがたくさんあります。
今の私の力では、一般の小説の原書は、通勤時間を使ってだいたい1週間程度、日本語の翻訳ものなら2日~3日程度あれば読みきれます。この差はなかなか埋め切れませんが、原書でも読書というレベルでは、ストレスを感じていないので、読むスピードをあげるのは慣れの問題だと思っています。
英語が速く読めない原因
というわけで、本題に入りますが、英語が速く読めないのは、
基本的に5つの理由があったと思います。知らない単語が出てくる度に辞書を引いてるってのは論外として。
1、高速で日本語に訳している
2、前から読めていない(帰り読みしてる)
3、頭で音読している
4、単語・文法などの基礎力不足
5、小説の背景知識の不足
高速で日本語に訳している
これは私を含む英語の勉強はできた人によく当てはまります。英語を読むときに英語は英語ではなくて、日本語にいちいち変換して読んでいるタイプ。一見、英語が読めているように見えるので、オレ読めると勘違いしがちです。とてつもない能力の持ち主でなければ、スピードという点では、この方法は限界があります。
このタイプはだいたい、レベルの違う本でもほぼ同じスピードで読むという特徴があるので、自分で気が付かなくても読むスピードを計ってみればわかることが多いです。
このタイプは、単純に読む量が不足していると考えられます。文法力も構文も把握できるけれど、読みが足りないと思われます。あとは癖になっていること。とにかく優しい本で訳す癖を外す練習をしましょう。もともと英語が出来る人なので、わりと速く改善できると思います。
ちなみに、今でも瞬間的に日本語になってしまうことが(特にセリフ)がままありますが、訳している感覚は全くないので、これはもう止むを得ないと思っています。英語を日本語でかぶせて読んでいるような感じで混ざってきます。
前から読めていない(帰り読みしてる)
これも勉強できる人にもいるみたいですが、後ろから訳さないと意味がとれない病というやつです。英語を話すネイティブはそんなことは全然やってませんので、当然前から英語は理解できるように出来ています。思うにこれは結構、重症の部類にはいります。確かに日本語に訳すときに正確に訳す場合は後ろからでないと、日本語にならないのは事実なので、矯正するのが難しいです。
帰り読みしないためには、英語を語順のまま理解するという、正論すぎて大人げない感じの力が必要です。これも正直言って読んだ量というのもありますが、一部簡単なテクニックがあります。例えば関係代名詞の手前で意味を切ってしまうとか、This is a の後で止めて、残りが空白なのに慣れるとかがあります。さらに読み返し禁止令を課すなどです。これは日本語でも何でもいいから絶対に前から意味をとっていくという方法です。正確かどうかは問題でにせず、ともかく前からいくようにします。
頭で音読している
これはダメというわけではなくて、一単語づつ音を出しているという所に問題があります。意味の塊で音読するなら全然OKだと思います。楽しいんじゃないでしょうか。しかし、意味がとれないんじゃないかと不安に思って、全文、全単語音読してしまっているなら、それはたぶん、前置詞とか重要でない言葉の意味まで正確に読もうと気を取られすぎています。
これだと、疲れる上に、絶対にスピードがあがりません、完璧に読もうとするのはやめましょう。音読は悪いことではないので、そのうち読めるようになりますから。
つまり、音読してもいいけど省略して音読してればいいということだと思います。これは今読んでる本よりも一つ二つレベルを落として読めば、実は出来るのを実感できるはずです。
単語・文法などの基礎力不足
これはもう、そのままですが、英語の構造や、レトリックをそのままに正確に理解する力が足りていない状態です。残念ながら、もう一度文法の基礎と基本的な単語を覚えるのが先になると思います。この状態だと辞書引きまくりでも、意味がわからないんじゃないでしょうか。一番優しい本を読みましょう。基礎をやりましょう。僕もコレでしたから。
小説の背景知識の不足
ベストセラー作家のスティーブン・キングの小説を訳すのは、実はみんな嫌だそうです。文章が難しいとか長すぎるとかそういうことではなく、出てくる固有名詞の数が半端じゃなく多いからだそうで、英語とは無関係に背景文化を調べる必要があります。翻訳を生業にしているなら、こういうところはミスできません。神は細部に宿るということで、その名詞の細かさがキングの特徴でもあるからです。
今はググれば、かなりの確立で固有名詞もスラングも意味がわかります。しかし、聖書の話や名文の引用などが瞬時にわかればもっと速く読むことができるはずです。これは今までの読書量がものをいう(言語無関係に)のだとは思います。洋書を読んでいて、余力があれば後で調べるという作業を繰り返すと結構覚えていきます。でもいまだに、わたしはイギリスの本が苦手なままです。あとはカトリックとプロテスタントの違いなども、苦手です。
じゃあ、どうやって速く読むようにするのか
解決方法ですが、速く読むための問題は、一つの勉強方を続けていれば、一気に全部解決できるということにならないことです。自分の経験上、いくつかの学習したことが合わさって、結果的に読めるようになったという感覚があるので、文法、基礎単語、多読、精読を全てやっておくことを私は勧めます。順番でいうなら、文法→基礎単語→精読→音読→多読という流れがいいと思います。
そして、多読の時には簡単すぎるものを大量に読んでいきましょう。どんどん読んでいけば、文章の中で飛ばしていい箇所とじっくり読む箇所とか、勝手に判断がついてきます。それこそ、日本語を読むときに近いレベルになっていきます。本を読む人はもともと読みなれているはずなので、本当に基礎と多読をやれば速く読めるようになります。自分で実験したので、自信もっておすすめできます。
しかし、どうしても勉強したくないというなら、音読(リピーティング)だけでもするのを勧めます。音読は声に出すので楽しいのと、英語の語順が身につくからです。語順さえ身に付けばひょっとすれば、もともと力があってすんなり速く読めてしまうかもしれません。ともかく楽しんで、いやいや勉強するのだけは避けましょう。