The Woman in White(白衣の女) オックスフォードブックワームズ レベル6 レビュー
お薦め度:★★★★★
● レベル6
● 本文128ページ
● 総語数31,770語
● 難易度目安:語数制限:2500語 TOEIC700点以上
The Woman in Whiteというと、ローレンス・カスダンの映画「白いドレスの女」と間違いやすいタイトルですが、日本の邦題は「白衣の女」。イギリスのヴィクトリア朝時代を背景にした恋愛長編推理?小説。出版は1860年といささか古いです。この時代の本はとにかくお屋敷とか財産とか爵位なんかがたくさん出てくるので、多量に読むと、またしても同じパターンかと思っていささか食傷気味になりがち(実際なってました。)ですが、この「The Woman in White」は、ずば抜けて面白いです。★10個ぐらいつけたいぐらい。
wikiによれば、この本を買い求めて書店に行列ができ、時の蔵相グラッドストーンは友人とのオペラ鑑賞をすっぽかしてまで読みふけり、T・S・エリオットは、この作品は「最高の人間描写」を含んでいると激賞したそうです。
原作はウィリアム・ウィルキー・コリンズ(William Wilkie Collins)というロンドンで生まれの作家の作品。一時画家を目指したこともあったが処女小説『アントニア』を発表してからは本格的に作家としての道を歩み始めます。またディケンズとも親しい間柄でよく旅行にも一緒に行っていたそうです。
あらすじなど
あらすじはこんな感じです。。ウォルター・ハートライトという美術教師が友人の計らいでリメリジ家の個人教師をすることになった。そのリメリジ家に赴く前日、自宅付近で全身白衣の女に呼び止められる。月明かりの中、道に迷っているのを助けてやるのだが、なんとも不思議なできことだった。
翌日、リメリジ家に赴くと生徒たる女性相続人ローラ・フェアリーがその白衣の女に瓜二つだった。
ハートライトは生徒と教師という間でありながら、彼女に惹かれるが、彼女には別に婚約者がいた。その婚約者ハンプシャーの准男爵サー・パーシヴァルは秘密をかかえており、彼女は陰謀に巻き込まれていくというお話。
出だしの白衣の女との出会いのシーン(なんとなくプロットは天空の城ラピュタの原型な気がします)や、徐々に陰謀や何故二人がそっくりなのか、深まる謎にぐいぐい引き込まれます。相似性という今でも通用するモダンな設定と、強烈な敵役の存在がこの本を特別なものにしています。
GL語彙制限本でも、全く文句を言わなかった傑作です。何度もミュージカル作品になったり映像化されています。
というわけで、★はもちろん5つです。原作も読んでみます。