多読中でも読める おすすめペーパーバック その1

英語学習中は、語彙や文法に制限のあるGR(Graded readers)をどんどん読んでいくのが、正統なやり方でおすすめですが、Graded readersは一般の小説と比べるとどうしてもオモシロさの点で数段落ちます。話の省略が激しいし、あっという間に終わるものもあります。性格描写なんてどっかいってしまってたりして、話のあらすじだけをひたすら読むのはどうしても退屈してきます。なかには、独自の個性があって、なかなか読ませるものもありますが、日本の小説を読みなれている人であれば、ほとんどのGRがつまらないなと感じてしまうでしょう。

私も、けっこう難儀した口で、本選びに困っていました。
本当は、普通のペーパーバックを読みたいけど、すらすら読めないからGRを仕方なく選択して読んでいるという状態が続きました。楽しいのは楽しいけど、もうひといき読み応えがあればなと。そこで、今になって思えば、一般の小説でも、辞書なくても読めるんじゃないだろうか?と思える小説をいくつか紹介しておこうと思います。
もちろん、ぱっと読んで意味の分からない単語が連発していたら、まだ早いということなので、読むのを止めたほうが良いと思います。

1、ポールオースター 鍵のかかった部屋

The New York Trilogy
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Paul Auster
Penguin Books
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ニューヨーク3部作の最後を飾る作品で、ポールオースターの初期の傑作。これは3部作ですが、互いにつながりはないのでそれぞれ別々に楽しめます。「鍵のかかった部屋」をおすすめするのは、ポールオースターの文体が簡素であることと、幻惑的といわれる文章が読みやすいからです。どういうことかと言うと、同じ意味を言い方を変えて何回もいい直してくれるような文体だからです。この話が、3作の中で、一番起承転結がしっかりしているからです。

2、Etgar Keret Missing Kissinger

Missing Kissinger
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Etgar Keret
Vintage Books (2008-04-15)
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イスラエルの作家なので、原書はヘブライ語だと思うのですが、英語の翻訳が出ています。ケレットは、今最もお気に入りの作家で、信じられないぐらい面白いです。長くてせいぜい数ページしかない短編が、たくさん入っています。コミカルでおかしくて切なくて、他の作家だったら同じ内容を表現するのに数百ページ使うのを彼は数ページでやってのけてしまいます。あまり使いたくない言葉ですが、「天才」っているんですねと思ってしまう作家。

3、カズオ・イシグロ Never Let Me Go

Never Let Me Go
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Kazuo Ishiguro
Faber & Faber
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日系のイギリス人のカズオ・イシグロの最近のベストだと思う作品。有名な「日の名残り」よりもこっちの方が好きです。イギリス英語ですが、比較的優しいです。イシグロによれば、世界で読まれるようになったので、難しい表現はしないようにしているとのこと。それが良いのか悪いのかはそれぞれの判断によるでしょうが。この作品には合っています。

4、トーベヤンソン ムーミンパパ海へ行く Lexile指数700L-795L

Moominpappa at Sea (Moomins)
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Tove Jansson
Square Fish
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ムーミンシリーズの最後から2作目のお話。ムーミン一家は住み慣れたムーミン谷を離れて灯台のある島へと移り住みます。トーベヤンソンはフィンランド人なので、原書ではないですが、英語版が出ています。私はムーミンパパに感情移入していまって、感極まるラストシーンが好きで、この作品を一番推しています。英語は優しい部類ですし、挿絵のおかげで話しに容易についていけます。

5、イーサン・ケイニン 夜空の皇帝

Emperor of the Air: Stories
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Ethan Canin
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イーサン・ケイニンはアメリカの作家で、短編と中篇で特に面白い作品が多い人です。じっくりと落ち着いた話を書く人で、どれほど暗い話でも読み終わると、いつもほのかなともし火みたいな希望を持つことができます。言葉に棘があまりないので読みやすいです。そう思っていたら、できるだけ個性を消すのが良い文章だとどこかのインタビューで本人が言っていました。ちなみに、この本を選んだのは、私が溺愛している短編集だからという理由です。紹介した中では一番難しいかもしれません。

以上の5作品です。またその2も紹介します。

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